脱炭素社会に向けたアルミニウム圧延業界の挑戦
一般社団法人日本アルミニウム協会
概要
アルミニウム圧延業界は、脱炭素社会に向け以下の温暖化対策に挑戦する。
1.展伸材製造時のCO₂排出量の削減
アルミニウムの高度な資源循環を実現する革新的生産プロセスの技術開発により展伸材への再生地金比率を増加し、更に再生可能エネルギーや非化石燃料の利用および廃熱回収等により、地金を含む展伸材製造時のCO₂排出量は、2050年に44%の削減効果を見込む(シナリオ①)。
また、世界のアルミ製錬の温暖化対策を考慮した場合、7~8割の削減効果を見込む(シナリオ②)。
2.製品での貢献
軽量化や高熱効率などの特性を活かし、自動車や産業分野など幅広い分野でのCO₂削減に貢献する
説明
アルミニウム板材や押出材など展伸材製造時のCO₂排出量は、新地金製造分が約9割を占める。そこで、脱炭素社会に向けたアルミニウム圧延業界の温暖化対策については、地金を含む展伸材製造時のCO₂排出量削減を対象として、挑戦する。
1.展伸材製造時のCO₂削減
(1)展伸材製造時のCO₂削減【シナリオ①】
① 展伸材製造時のCO₂排出量の最小化
燃料:溶解炉の廃熱回収導入100%と燃料転換、非化石化50%、
電力:再生可能エネルギーの利用50%
② アルミニウムの高度な資源循環の実現
革新新的生産プロセスの技術開発により、展伸材への再生地金の利用を可能とし、新地金調達(海外から輸入)の最小化により、海外での新地金製造時のCO₂排出量を削減する。
- 展伸材に用いられる再生地金比率:10% ⇒ 50%
(2)世界のアルミ製錬の温暖化対策を考慮【シナリオ②】
世界のアルミ製錬はその電源構成の主力が石炭火力であることから、新地金のCO₂原単位が高い。世界的な温暖化防止の必要性から、今後、海外から輸入している新地金のCO₂原単位が、2050年に50%、および70%減少するというシナリオを想定する。
(3)展伸材製造時のCO₂削減貢献量
【シナリオ①】2050年に44%の削減効果を見込む
【シナリオ②】2050年に68~78%%の削減効果を見込む
2.製品での貢献
アルミニウム材料は、その優れた特性により自動車や鉄道車両などの輸送機器、飲料缶、建材、機械部品など様々な分野で使用されている。
① 軽量化
自動車や鉄道車両など輸送機器へのアルミニウムの適用拡大による燃費向上により、走行時のCO₂が削減する。
② 熱効率向上
アルミ、鉄、樹脂等を含め、熱交換技術を集中的に革新させることにより、CO₂の削減に貢献する。具体的には、家庭用・業務用ヒートポンプ、給湯器、空調、燃料電池、自動車用熱交換器、産業用熱回収装置などへの適用が想定される。
補足情報
(一社)日本アルミニウム協会ホームページ
「アルミニウム圧延業界の温暖化対策長期ビジョン(2050)」
https://www.aluminum.or.jp/sys_img/files/1585205691_0.pdf