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地中熱採熱の低コスト工法によるゼロエミ化

新日本空調株式会社

概要

再生エネルギーの地中熱を空調用ヒートポンプに活用する場合、環境面において下記のメリットとデメリットがある。

(メリット)

 1.空気熱源ヒートポンフの稼働が難しい、外気温が氷点下以下の環境でも、利用可能

 2.放熱用室外機がなく、稼働時騒音が非常に小さい

 3.地中熱交換器は密閉式なので、環境汚染の心配がない

 4.冷暖房に熱を屋外に放出しないため、ヒートアイランド現象の元になりにくい

(デメリット)

 1.設備導入(削井費用等)に係る初期コストが高く設備費用の回収期間が長い

  

地中熱を利用したヒートポンプシステムの普及に向け、初期コストの低減を図る工法を開発し、2017年に市場導入を開始してから2件の建物で利用されている。今後、更なる普及を行い再エネの拡大につなげる。

 

説明

1.チャレンジにおける到達目標(開発、実用化、コスト、普及率など)

①地中熱は、地表から10m以上の深さの温度が年間を通じ一定で、空調熱源として有効に活用できる。現在主流の採熱工法は、深さ100~150mの孔を掘削した後、採熱Uチューブを挿入する手法で、孔の掘削とチューブ挿入の2回施工・専門作業員が必要となり、初期コストの回収年数は14~20年である。   

②この対策として、ビル新設時予め工場で製作する基礎杭の内部に、二重螺旋状の採熱管(ダブルスパイラルチューブ)を縮めた状態で取付け、現場で杭施工時と同時にチューブを伸長させる工法を開発した(図-1「地熱トルネード工法®」)。本工法は、掘削作業と採熱管施工作業の2つの作業員が不要となることから、コスト回収を8年以内となることを目指している。

2.チャレンジ実現に向けて克服すべき課題        

①本工法を広く展開して社会貢献するため、施工業者を育成して施工品質を維持し、普及に繋げることが必要である。また、本工法の認知度向上も必要である。

②また、ダブルスパイラルチューブの実機運用データを用いて本工法の採熱評価を行い、新設ビル計画で簡易に熱源システムの検討が行える情報を供することが必要である。

3.具体的なアクション

①連携先と本工法のコンソーシアムを作り、参画する基礎工事会社に対し、技術の公開による施工品質の向上と人材の育成を行うことを計画している。また、本工法(ダブルスパイラルチューブ設置を伴う構造方法)の大臣認定取得に向け、載荷試験を実施している。

②本工法のコスト面と熱源の有効性に関する検証結果を蓄積しながら、地中熱導入促進のために本工法採用時の助成金制度など適用に向けた、関係者への提案を行う予定である。

4.チャレンジが実現した場合の温室ガス削減の効果等

①非住宅建築における地中熱ヒートポンプシステムの導入が、ここ数年数十~100件程度で推移していている実態や、地中熱ヒートポンプのCO2排出量は空気熱源ヒートポンプと比べ25%削減できること公開され(2019年環境省地中熱利用パンフレットによる)、地中熱の認知は進み始めている。

②オフィスビルの電気使用量における空調熱源機器の割合は約28%であり(オフィスビルのエネルギー消費の特徴・・省エネルギーセンターHPによる)、高効機器率機器の導入などと合わせて、地中熱利用の拡大は「エネルギー基本計画」(2014年4月閣議決定にて定められた、建築物について、2030年までに新築建築物の平均でネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)を実現すること)に向け、貢献ができるものである。

  

連携先

ジャパンパイル株式会社

  

補足情報

詳細は、当社のウエブページを参照

https://www.snk.co.jp/service/technology/search/?pdid=112

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