FCユニット多用途展開による物流を中心としたCO₂ゼロチャレンジ
株式会社豊田自動織機
概要
豊田自動織機は、企業活動を通じて「住みよい地球と豊かな生活、そして温かい社会づくり」に貢献すべく、CO₂ゼロ社会実現に向けた技術の開発に努めている。そのひとつが、水素利活用の推進である。
交通・物流分野において低炭素化・CO₂排出削減を促進するにあたっては、乗用車やバス・トラックのみならず、フォークリフトなどの産業用車両や鉄道・船舶等も含めた幅広い水素利活用ネットワークの構築が極めて重要と考える。
水素を燃料として発電・稼働する燃料電池フォークリフト(以下、FCフォークリフト)は、稼働時にCO₂や環境負荷物質を排出しない優れた環境性能と高い利便性を備えるだけでなく、外部給電機能により災害などの非常時に電源としても活用が可能である。
また、FCフォークリフトの動力源であるFCユニットを活用・応用し、多種多様なモビリティ、さらにはその他用途への展開を推進し、工場・倉庫、市場、空港・港湾等の物流拠点の水素ハブ化、そこからのネットワーク拡大を図り、CO₂ゼロチャレンジに貢献する。
説明
当社は、経済産業省や環境省による技術開発・実証事業を通してFCフォークリフトの開発を進め、2016年11月に国内初となる実用モデル(2.5トン積)の販売を開始した。また、2019年9月には2機種目となる小型モデル(1.8トン積)を追加し、2019年度末までの販売台数は累計で約250台に達している。さらには、空港での貨物牽引に使用されているトーイングトラクターについてもFCモデルを開発し、2020年2月より中部国際空港における実証運用を開始した。
交通・物流分野において低炭素化・CO₂排出削減を促進するにあたっては、乗用車やバス・トラックのみならず、フォークリフトやトーイングトラクターなどの産業用車両や、さらには鉄道・船舶等も含めた幅広い水素利活用ネットワークの構築が極めて重要と考えており、当社は国の「水素基本戦略」に沿って、FCフォークリフトを軸として先ずは物流分野から水素社会の実現に貢献すべく積極的な取り組みを行っている。
FCフォークリフトは、稼動時にCO₂やNOxなどを排出しない優れた環境性能と、約3分で水素燃料充填が完了するという高い利便性を兼ね備えているだけでなく、外部給電機能(AC100V)を標準搭載しているため、「動く電源」としての利用も可能である。従って、ゼロ・エミッションへ貢献するだけではなく、自然災害の多い我が国においては、BCPの観点から非常用電源としての導入・活用も期待されるものである。
また、FCフォークリフトの動力源であるFCユニットは、全ての機能部品がワンパッケージ化されており、それ自体を発電機としてのみ使用することが可能である上、そのサイズ・レイアウトを変更することで、他の車種や用途への転用が比較的容易に実現可能であるという特徴を有する。この特徴を活かして、産業車両以外の多種多様なモビリティ、さらには発電機としてその他用途への普及拡大・展開を推進し、工場・倉庫、市場、空港・港湾等の物流拠点の水素化・ハブとしての整備、そこから拡がるモノとエネルギーのネットワーク構築に取り組むことで、物流分野におけるCO₂ゼロチャレンジに貢献する。