世界初のバイオポリプロピレン製造実証事業
三井化学株式会社
概要
三井化学グループは、プラスチックを中心とする製品・サービスを提供する化学企業として、気候変動とプラスチック問題は、真摯に取り組むべき重要な社会課題であり、一体の課題として捉えることが重要であると考えています。その中でも石油原料からバイオマス原料への転換は資源循環を促進すると同時に、新たな化石資源の使用を抑制し、気候変動の緩和への大きな貢献となると考えています。
ポリプロピレンは世界で2番目に生産量が多いプラスチックであり、様々な製品に使用されているため、原料代替によるCO2排出量の大きな削減効果が期待できます。バイオポリプロピレン(bPP)は、化石資源ではなくバイオマス資源を原料とするポリプロピレンであり、今回、三井化学は、発酵をキー反応とする独自の製造法により、bPPの実証試験に世界で初めて取り組みます。非可食を含む多様なバイオマス原料を使用し、かつ、原料残渣も電気に変換して有効活用する資源循環型のサステイナブルな技術の確立を目指します。
説明
三井化学グループは、世界初となるバイオポリプロピレン(bPP)の工業化実証試験を行い、技術面・品質面・経済性・GHG 排出量削減効果等の評価を多面的に行う予定です。これらの課題をクリアしながらbPPの事業化を検討し、最短で2024年の生産開始を目指します。
ポリプロピレンは自動車部材をはじめ、医療、家電、住宅、食品分野まで、幅広い用途に使用されており、人々の生活に欠かせない素材の1つです。日本で生産されるプラスチックの2割強を占める主要な素材ですが、バイオマス原料化の難易度が高く、今のところ工業化レベルの技術確立に至っていません。
従来のプラスチックは、数億年の長い年月をかけて地中に蓄えられた化石資源が原料ですが、バイオマスプラスチックは植物が主な原料です。植物は大気中のCO2を吸収して生育するので、CO2削減に効果的で、地球温暖化を緩和します。植物を原料とするbPPは、持続可能な社会への貢献が期待される製品です。
今回事業化を目指す新しい製法は、非可食植物を主体とするバイオマス原料から発酵によりイソプロパノール(IPA)を製造し、それを脱水することでプロピレンを得る、世界初のIPA法です。この製法は、これまでに検討されている他社のバイオマス製法に比べて、より安価なbPPの製造を可能とします。
また、連携法人である株式会社開成社との取り組みは、同社からバイオマス原料の供給を受ける一方、バイオマス原料製造で生じた廃棄物の回収とその有効活用により、当社製造設備への電力供給を目的としたバイオマス発電や肥料の製造を行うものです。当社は同社と共に、サプライチェーンを通じた資源循環型モデルの構築と環境対応による社会貢献を目指します。
当社グループは、事業活動を通じた社会課題解決に積極的に取り組むとともに、社会と当社グループの持続的発展を目指しています。気候変動対応方針とプラスチック戦略に基づき、本事業に取り組んでまいります。
連携先
株式会社開成(所在:新潟県村上市、代表取締役社長:遠山 忠宏)
補足情報
環境省がGHG削減施策の一環として実施する「令和元年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に採択
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/release/2019/2019_0612.htm
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/release/2019/2019_0926.htm
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/mci_sustainability/contribution_value/
当社の気候変動対応方針
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/mci_sustainability/climate_change/policy.htm
当社のプラスチック戦略
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/mci_sustainability/climate_change/plastic.htm