船上で発生する二酸化炭素の回収・貯留で海上輸送のカーボンニュートラル化を目指す
日本郵船株式会社
概要
当社は船上で二酸化炭素(CO2)を回収しドライアイスに変え、海底堆積物の中に貯留する技術を研究する国際的プロジェクト「DecarbonICE」に参加し、海上輸送のカーボンニュートラル化の実現を目指しています。本プロジェクトは船上でのCO2の回収および貯留技術、環境への影響調査の方法や安全性などに関して国際海事機関(IMO)からの承認取得に向けた準備を目的としています。この技術は新造船に限らず既存の船舶にも導入可能で、将来的にはバイオ燃料など化石燃料からの代替燃料と組み合わせることで、排出するCO2よりも回収するCO2の量が上回る、カーボンニュートラルの一歩先にある「カーボンネガティブ」な輸送を実現することができます。
説明
当社は船上で二酸化炭素(CO2)を回収してドライアイスに変え、海底堆積物の中に貯留する技術を研究する国際的なプロジェクト「DecarbonICE」に参加しています。
海運業界では国際海事機関(IMO)により2050年までに海運分野の温室効果ガス排出量を2008年比で50パーセント削減する環境目標が設定され、液化天然ガス(LNG)などの重油に代わる低炭素燃料の導入や脱炭素化に向けた様々な新技術の開発が進められています。
「DecarbonICE」プロジェクトは、2019年10月1日にデンマークの海事研究開発センターと当社をはじめとする世界各国の海運会社、造船所などにより立ち上げられました。船上でのCO2の回収および貯留技術、環境への影響調査の方法や安全性などに関してIMOからの承認取得に向けた準備を目的としています。
本プロジェクトのコンセプトは、①船舶から排出される排気ガス中のCO2等を運航中に回収し、極低温プロセスによりドライアイスに変換、②ドライアイスは海水よりも比重が高く重い為、船舶から深海へ送り込むことでCO2を液状や水和物として安全かつ永続的に海底堆積物の中に貯留できる、というものです。
海上輸送では毎年1億トン近くのCO2が排出されており、そのうち80%は国際海上輸送から排出されているといわれています。船上でのCO2の回収および貯留技術を導入することで、安全、且つ環境負荷の低い方法で国際海上輸送から排出されるCO2の約90%を削減できることが見込まれています。CO2の回収および貯留技術は、新造船に限らず既存の船舶にも導入可能ですので、導入費用面でもメリットがあります。
また将来的にはバイオ燃料など化石燃料からの代替燃料と組み合わせることで、排出するCO2よりも回収するCO2の量が上回る、カーボンニュートラルの一歩先にある「カーボンネガティブ」な輸送を実現することができます。
当社は中期経営計画〝Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green”においてESGと経営戦略の統合を掲げ、事業活動を通じてSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献する活動を推進しています。今後も燃料転換や新技術の開発に積極的に取り組み、CO2排出削減に努めます。
連携先
アルファベット順に表記
Ardmore Shipping Services Corporation
BW Group Ltd.
Clean Marine AS
Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering Co., Ltd.
Knutsen OAS Shipping AS
Sovcomflot Ltd.
Teekay Corporation
Vale S/A
Maritime Development Center
Transport Innovation Network
補足情報
日本郵船株式会社 プレスリリース
https://www.nyk.com/news/2019/20191204_01.html
日本郵船株式会社 環境目標
https://www.nyk.com/csr/envi/plan/
decarbonICE™
https://mdc.center/decarbonice-home