Power to Chemicals ~再生可能エネルギーを活用した二酸化炭素の資源化~
株式会社東芝
概要
二酸化炭素の有効利用と再生可能エネルギーの普及の両者を実現するため、当社は、多量の二酸化炭素を排出する設備に隣接設置可能で、且つ、再生可能エネルギーの余剰電力を動力として、二酸化炭素の資源化を行うPower to Chemicalsの技術開発を推進する。
人工光合成により、二酸化炭素を、プラスチックやジェット燃料の原料となる一酸化炭素に変換できるが、従来の技術では、変換速度が低いため、コストや設置場所に制約が生じていた。そこで、二酸化炭素を変換する触媒や電極構造の研究により、世界トップレベルの変換速度を持つ当社独自の触媒電極を開発した。本技術を基盤とし、まずは、太陽電池等の変動性電源を用いて1kW級の二酸化炭素資源化システムを検証し、将来的には、MW級プラントを各種二酸化炭素排出施設に実装することで年間100万トンレベルの二酸化炭素削減効果を目指す。
説明
二酸化炭素を一酸化炭素に変換するための高スループット型人工光合成技術を開発し、動力として再生可能エネルギーの余剰電力を用いることで、経済的に成立する二酸化炭素資源化モデルを構築する。
まずは、2022年度中に、火力発電所などを想定した二酸化炭素回収模擬ガスを用いて、1kW級二酸化炭素資源化システムを実証する。将来的には、この1kWシステムをベースに、多量の二酸化炭素を排出する施設に隣接設置可能なMW級プラントの社会実装を目指す。100MW相当が社会実装された場合、化石資源由来の化成品から置き換えることで期待される二酸化炭素削減量はおよそ100万トン/年である(石炭からメタノールを製造するプロセスとの比較)。
従来の人工光合成技術は、変換速度の低さから、システム化した場合に、コストや設置場所に制約を生じていたが、当社ではこの課題を解決するため、二酸化炭素電解の高スループット化を実現する触媒電極の開発を進めてきた。二酸化炭素を水に溶かさず、気体のまま水と反応させることで電流密度(変換速度)の低下を解消することができ、更に、触媒層の構造として、ナノサイズの細孔に加え、二酸化炭素の流路となるマクロ孔を導入した独自構造を採ることにより、高濃度の二酸化炭素を触媒表面へ効率よく供給できるようになった。その結果、世界レベルの電流密度645mA/cm2での二酸化炭素の変換に成功した。今後、早期社会実装を目指し、当社独自の触媒電極技術を基盤とし、電極の大面積化や電解セルの積層化等を検討、更に、太陽電池等の変動性電源を用いたシステム動作を確認し、最終的に、低コスト且つ高スループットである二酸化炭素資源化モデルを検証していく。
連携先
環境省委託事業「二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業」の中で本技術の実証を一部実施中。
補足情報
・Power to ChemicalsのPR動画
https://www.toshiba.co.jp/rdc/video/nano_p05.htm
・プレスリリース(2019.03)
https://www.toshiba.co.jp/rdc/detail/1903_02.htm