EN

Power to Chemicals ~再生可能エネルギーを用いた電解による二酸化炭素の資源化~

株式会社東芝

概要

二酸化炭素の有効利用と再生可能エネルギー普及の両者を実現するため、当社は、再生可能エネルギーやその余剰電力を動力とした電解還元により二酸化炭素の資源化を行うPower to Chemicalsの技術開発を推進する。

人工光合成により、二酸化炭素を、ジェット燃料やプラスチックの原料となる一酸化炭素に変換できるが、従来の技術では、変換速度が低いため、コストや設置場所に制約が生じていた。そこで、二酸化炭素を電解還元する触媒や電極構造の研究を行い、世界トップレベルの変換速度を持つ当社独自の触媒電極を開発した。本技術を基盤とし、最大年間1トンレベルの二酸化炭素を一酸化炭素に電解還元できる電解セルスタックを作製し、二酸化炭素資源化システムで動作を検証した。本成果を基に、カーボンニュートラル社会の将来を見据え、各種二酸化炭素排出施設に実装可能なMW級二酸化炭素資源化システムの構築を進めていく。

説明

当社では、二酸化炭素をジェット燃料やプラスチックの原料となる一酸化炭素に電解還元する二酸化炭素資源化システム(Power to Chemicals)の開発を進めている。このPower to Chemicalsの実現においては、二酸化炭素処理量を増大させる高スループット化技術の確立が重要であるため、当社では高スループット化を実現する触媒電極の開発を進めてきた。二酸化炭素を水に溶かさず、気体のまま水と反応させることで電流密度(変換速度)の低下を解消することができ、更に、触媒層の構造として、ナノサイズの細孔に加え、二酸化炭素の流路となるマクロ孔を導入した独自構造を採ることにより、高濃度の二酸化炭素を触媒表面へ効率よく供給できるようになった。その結果、世界最高レベルの電流密度645mA/cmでの二酸化炭素の変換に成功した。そして本技術を基盤とし、最大年間1トンの二酸化炭素を処理可能な二酸化炭素資源化システムを作製した。このシステムは、技術の中心である二酸化炭素電解セルに高電流密度化、電極面積の大型化、電解セルのスタック化の技術を導入しており、これにより二酸化炭素の処理量を大幅に増やすことに成功した。また、二酸化炭素電解セルスタックを用いた長時間運転実証や、実環境での運転に求められる二酸化炭素資源化システムの開発のために、再生可能エネルギーを模擬した電源による電力変動の影響調査、火力発電所などを想定した二酸化炭素回収模擬ガスを用いた二酸化炭素中の不純物の影響調査についても検証を行った。今後、本成果を基に、清掃工場など多量に二酸化炭素を排出する施設に実装可能なMW級二酸化炭素資源化システムの社会実装・普及を目指していく。

連携先

環境省委託事業「令和4年度二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業(多量CO2排出施設における人工光合成技術を用いた地域適合型二酸化炭素資源化モデルの構築実証)」の中で本技術の実証を一部実施。

類似事例

2モータシステム用パワーユニット 「4GL-IPU」

三菱電機株式会社

> 詳細を見る

AI/IoTを活用した分散電源(VPP)のデマンドレスポンス(DR)対応

日本電気株式会社

> 詳細を見る

AI制御で最大50%の基地局電力使用量を削減

KDDI株式会社

> 詳細を見る

BEMS (Building Energy Management System)

鹿島建設株式会社

> 詳細を見る

CO₂を分離するサブナノセラミック膜の開発

日本ガイシ株式会社

> 詳細を見る