ネット・ゼロ・カーボンと⾼効率な移動の両立への貢献
株式会社デンソー
概要
デンソーは、地球にやさしく、より快適に移動できる電動車両システムの開発に取り組んできました。その結果、ハイブリッド車に欠かせない主要製品の高性能化や小型化、省燃費を実現し、世界中で生産しています。今後は、当社の幅広い事業領域を活かし、車内のあらゆるシステムや製品をつなぎ、クルマの中のエネルギーを効率よくマネジメントすることで、さらなる燃費性能の向上や省電力化、そして、将来のネット・ゼロ・カーボン社会に貢献していきます。
[1] サーマルシステム
環境に配慮し、最小限のエネルギーで、安全で快適な空間を提供する
[2] パワトレインシステム
クルマ本来の走るよろこびと環境性能の両立、その背反する課題へのソリューションを提供する
[3] エレクトリフィケーションシステム
豊かな環境と走るよろこびをかなえ、すべてのモビリティの電動化を支える
説明
[1] サーマルシステム
拡大・多様化する熱バリューを取り込み、創造し、人々に共感される省燃費、安全・快適な熱マネジメントシステム・コンポーネントを提供するリーディング企業として、未来社会づくりに貢献します。
■ 事業を通じた社会課題解決
電動車両の航続距離を改善する新価値製品への取り組み
プラグインハイブリッド車や電気自動車等の電動車両は、暖房に多くの電気を使用するため、冬期に航続距離を維持することが課題の一つとなっています。この課題を解決する技術として、デンソーは大気の熱を暖房の熱源として利用することで電気エネルギー消費を抑制するヒートポンプシステムを開発・製品化しています。同システムはすでにトヨタ プリウスPHVに搭載されていますが、新たに2018年に米スバル クロストレックハイブリッドに搭載されました。
さらに、このヒートポンプシステム技術を応用し、従来比でエネルギー効率を20%改善 させた大型トラック向け新型電動式冷凍機を開発、2019年6月から日野 プロフィア COOL Hybridに搭載されています。
■ 成長目標
グローバルシェアNo.1の顧客・地域展開力を活かし、新価値製品(省燃費・快適・総合熱マネジメント製品)の開発・投入と、新興国へのカーエアコンやラジエータ等の基幹製品の拡販により、グローバルで自動車市場の成長と同等の安定成長を目指しています。
[2] パワトレインシステム
地球環境への負荷を最小限にとどめ、いつまでも、この星でクルマが走るよろこびを提供できるように、環境性能と走行性能の追求により社会が求める内燃機関開発をサポートし、システムとコンポーネントを供給し続けるとともに、新たな価値創造・提供にも努め、社会に貢献します。
■ 事業を通じた社会課題解決
燃費向上に貢献する小型高出力点火 コイルを開発
小型コア技術の開発により、世界最高のエネルギー出力とエネルギー効率(体積比)を達成した小型高出力点火コイル「CRICs100」(CRICs:Coil Revolution Internal Combustion series)を開発。2018年10月より量産を開始しました。
ガソリンエンジンの燃費向上を実現するため、リーンな燃焼が求められており、燃料に点火しにくい状況になっています。当製品は高い点火エネルギーにより確実に点火し、エンジンの高効率化に貢献します。
■ 成長目標
先進国向けには、「電動化時代の内燃機関効率向上」と「電動化・自動運転に貢献する新製品開発」を進めるとともに、新興国向けには、小型で安価な環境車に貢献する「現行品ベースでの最適仕様 /低コスト化」を推進し、2025年対応技術を2021年までに開発完了します。そして、新興国市場での事業拡大と電動化新領域で、年率3%の安定成長を目指します。
[3] エレクトリフィケーションシステム
多様なモビリティ社会を迎える中、すべての人や社会、お客様に環境技術である電動化で貢献したいと考えています。キーとなる電動システムや製品をスピーディに開発、供給し、その普及に貢献していきます。
■ 事業を通じた社会課題解決
環境負荷低減と高効率な移動を実現する技術で新たなモビリティ社会に貢献
デンソーは、モータジェネレータ、インバータ、電池 ECUなど、電動車両のキーコンポーネントの製品開発、生産を行うとともに、インバータのSiC素子の実用化など、高効率化や高密度実装化の技術開発にも取り組んでいます。
例えば、電池 ECUでは、内製で開発した多セル監視 ICの採用により、電池容量を高精度で推定することが可能となり、電池を使用できる容量が約2%拡大し、EV車両の走行距離の延伸に貢献しています。
■ 成長目標
電動車両のエネルギーマネジメントと「走る・曲がる・止まる」をつかさどる車両制御を極めた電動車両システムのリーディングサプライヤーとして、自動車のみならず、航空機など多様なモビリティの電動化を進め、年率20%超の成長を実現します。
連携先
カーメーカー各社
補足情報
統合報告書 2019
https://www.denso.com/common/confidential-published/jp/ja/investors/library/annual-report/documents/2019_integrated_report_A3_v.pdf
[1] サーマルシステム P.60–61、
[2] パワトレインシステム P.62–63
[3] エレクトリフィケーションシステム P.64–65